甲州街道沿いの長い歴史を持つまちと、計画的な学園都市があわせて発展してきた国立市は、市民が「自治」の担い手として積極的に行動する、豊かな地域性を持っています。市民の高い意識は、第二次大戦後まもなく起こった「文教地区指定運動」の成果と課題を引き継ぎ、発展させてきました。それは最初の長期構想(第一期基本構想:1977 年〜1987 年)づくりのプロセスでも発揮され、「開発より環境を重視」「市民参加」という、今日につながる理念ができあがりました。景観問題での歴史をかえるほどの市民の立ち上がりと行政の連携は、市民自治における市民と行政のあり方の象徴的な出来事でした。
上原市長の8 年間、市民が自由に意見を発表する場は飛躍的に増えました。市民の発想を生かしたり、市民自身が直面した問題を個々人で対応するのが難しいとき、行政がその窓口を広げ、市民と連携して具体的な施策をどう作り上げていくのか、行政の側の姿勢と力量が問われています。市役所への市民の参加から、まちかどから政治にかかわることのできるしくみをつくりあげる。市民参加は行政の私物化を防ぐと同時に、身近な問題に知恵を出しあって、よりよいまちのしくみをつくるのに不可欠なものです。